2022年11月16日から17日まで、マクロビオティックの学び直しであるリカレント講座へ、久留米の師匠のところまで行ってきました。
今回も師匠宅で前日からお世話になって。
朝ごはんも美味しくいただきました。
今回は、めちゃくちゃ興奮して学び直しにきたのが、食養生の中でにも最高峰に達する食箋料理のひとつ、「鯉こく」。
私たちが思っているような、合わせ味噌の鯉こくでなくて、お病気治しにも使われる鯉こくは、
マクロビオティックを学びに正食クッキングスクールの上級クラスで見たときも印象強かったお料理のひとつ。
それもそのはず。
材料は、鯉とごぼうと八丁味噌。
しかも、生きた天然鯉まるごと1匹を、内臓のまま入れて圧力鍋で1時間炊くという一物全体のお料理。
マクロビオティックは基本的には玄米菜食なのですが、
動物性タンパク質を使う料理がこの鯉こくと、鮭と酒粕のたいたお汁や鱈を炊いたものもあるのですが、
鯉こくは、病後や高熱後などの虚弱な時や、貧血、肺炎、乳がん、結核、骨髄炎、神経衰弱などの滋養強壮にいい料理とされています。
マクロビオティクで動物性食品を用いるのは、急場を凌ぐ時と言われているのですが、
養生がとても必要なせっぱつまった時。お病気や体調が重篤なときに作られるお料理なのだとか。
鯉は、動物性の中で、ナトリウムとカリウムの比率が最も植物性に近いと言われ、
2ー3倍のゴボウ、みそ、茶がらを入れて、動物性を消して頂く料理だとされています。
まあ、そのゴボウの多さと言ったら半端ないです。
鯉の重量の2倍ということで、今日は2kgのごぼうをささがきにしまくるささがき部隊から始まりました。
このささがきにしたごぼうを、ごま油で蒸し煮する際に、梅酢を大さじ1いれて、香りがでるまで蓋をしてゆっくりと火を通します。
それから、今日のメイン「生きた天然鯉」が到着!!
なんでも、鯉とりマーシャンという、鯉取り名人が抱き抱えるように鯉を捕獲して、泥を履かせて天然鯉なのだとか。
さあ、今からがいよいよメインイベント。
太田先生が担当されます
丸ごと1匹の鯉を入れる前に、「苦玉」を取り出す作業から。
鯉に脳震盪を起こし気絶させてから、お腹の中から胆嚢である「苦玉」を取りだす作業が、まさに手術室の光景かも。
まさにこれこそ、「まな板の鯉」状態。
太田先生も言われるのですは、この鯉を生きたまま捌く前に鯉に気絶させる一撃をするのに躊躇されるのだそう。
生きているものから、命をいただきて口にする。
その儀礼にも似たこのシーンに、一回両手を併せて、鯉への命の感謝をされるのだそう。
まずは、鯉に目隠しをして、口と頭のとんがっている部分を包丁の裏で一撃。
お腹を捌いて、胆嚢を速やかに取り出します。
これを取り出す作業に失敗して、お腹の中で苦い胆汁が充満すると食べられたものではい苦い鯉こくになるので、きれいに取り出すのが、最大の難関。
今回の鯉はなんと、2.7kgの超大型鯉。
今日も、太田先生が鯉こくを切り盛りされます。私と同じ年齢なのに、すごい!
3人がかかりで押さえつけて、苦玉を取り出すのに成功。
ちなみに、鯉の胆嚢も、虚弱な人には滋養強壮になるそうだと聞いて、潰した汁を舐めさせてもらったら後のまつり。
まあ、苦いこと、苦いこと。漢方薬の苦い味にも慣れている私でさえ、しばらくこの苦味消しに往生することに。
後悔後に立たず。でもいい経験になりました(笑)
さすがに、これが鯉の腹の中に充満したら、苦い料理になるのは間違いなしと確信した次第。
さて、この苦玉を取り出したまるごと1匹の天然鯉。
まだ軽く生きておられる状態で、ごぼうを蒸し煮した圧力鍋の中にまるっとまるのまま1匹をいれます。
この圧力鍋は2升炊きなのだとか。
お水を半分くらいいれて、そして、晒しに包んだ番茶のだしがらと生姜を入れて圧力をかけて1時間。
自然放冷で、圧が抜けるのを待ちます。
開けてみると、うわああああ。鱗が逆立っている。。。
鱗も骨も全部いただく、一物全体の食箋料理。
これは滋養にいいはず。
ここから、さらに八丁味噌を溶いて味を整えていきます。
お椀についでみると、ほろほろと身も崩れ、骨までやわらか。
ただし、鯉には臼歯があるそうで、これは硬くて食べられないので外されましたが、あとは全部いただく最高の薬膳スープになりました。
改めて材料です。
「鯉こく」 圧力鍋で炊く場合は圧がかかって1時間。自然放冷。
生きた鯉 1匹 (約1kg)
ごぼう 2kg (鯉の2−3倍)
ごま油 大さじ4
番茶がら 1カップ分
八丁味噌 400g=
生姜 50g
山椒 適量
マクロビオティックでは陰陽理論を重じていて、
中庸にする体づくりを目指しているのですが、現代人は陰性気味になることも多いと言われています。
砂糖やアルコールに
食品添加物に、化学調味料、薬、サプリメントなどの陰性食品が多く取ったり、
パソコンやスマートフォン、テレビなどの電波、
電子レンジやIH調理器などの電磁波。
そして、ストレスに睡眠や運動不足。
こういった陰性体質になる要因が重なると、虚弱になっていき、免疫力低下にも繋がってきます。
マクロビオティックの陰陽理論では、
鯉が動物性食品で陽、
ごぼうが野菜の中でも陽、
八丁味噌が陽性の調味料、
そして、圧力をかけて1時間炊くという調理法が陽と
4つの陽の要素をかけて調理していくことになるので、陰性体質の人にはとっても滋養にいい食箋料理になっていくのです。
食べた時に、おいしいと思う人とそうでない人がいるのですが、
体質が陰性気味な人には美味しく感じられるようです。
わたしは、今回で2回目なのですが、ビーフシチューのような味で本当に美味しかった。
同席しておられたお隣の方は、あまり口に合わないといわれておられ、みると漬物がおいしいとポリポリされていたので、
やっぱり陽性体質の人にはすこし陽の気が強すぎるのかもと思ったところでした。
鯉こくを作っている間に作ったマクロビオティック料理。種類も量もすごかった。
根菜の炊き合わせ、蒸し野菜、太秋柿の白和、カブの重ね煮あえ、はやとうりのぬか漬け、大根麹づけ5年もの、丹羽黒豆炊き、金時豆の甘煮、太秋柿、玄米、こいこく。
一回分ではもちろん食べきれないので、しっかりと持ち帰り用にパッキング。
師匠に愛情深さが感じられるマクロビオティックの学び直しのリカレント教室。
理想の師匠に出会えて、師匠の背中を追っかけているけれど
まだまだ師匠には追いつけない愛の深さと広さに
たくさんのエネルギーをチャージさせていただきました。
これから農園まつりがある1週間を迎えるので、滋養をつけるのにとてもよかった食箋料理の鯉こく。
毎日少しずつ食べて、廃鶏化しつつある体を持たせようと
学び直しができる喜びを味わって宮崎に戻ります。
生きているものからいただく命の移し替え。
私たちのからだは食べたものでできている。
それを痛感したマクロビオティック修行「鯉こく」編でした。
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